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遠征3日目は占冠から帯広方面へ移動。
占冠:しむかっぷ。初見じゃ読めないね、おもしろい。由来はアイヌ語の「シモカプ(shimokap)」からで、とても静かで平和な上流の場所という意味らしい。素敵。
宿泊場所を朝4時前に出て車を走らせること約30分、1本目の目的の川の入渓ポイントに到着。橋の脇から水辺に降り橋の下を潜る。草も生えず砂利になっている橋の下は足跡でいっぱいだ。どうやらかなりの人気河川で多くの釣り人が入っているようだ。「ああ、こりゃダメかもね」という気持ちと、「いや、北海道だしワンチャン…」という気持ちがせめぎ合いながら本筋へ向かう。
ちょうどその時雨が降ってきた。遠征中に風邪でも引いたら全てが台無しになってしまうと思いすぐさまレインコートを装着。2台装着したGoProはリュックに入ったモバイルバッテリーから給電しているため荷物の出し入れがとてもめんどくさい。到着時点で降っていてくれれば楽だったのに…と思いつつも、雨は渓魚の活性が上がったり水面が波立ってこちらの存在が悟られにくくなるなどのメリットもあるので悪い気はしなかった。
入渓して少しの区間は道路に沿って川が流れている。気温15.8℃、水温15℃。条件としては悪くなさそうだ。さっそくいつもの主力スプーン、D-Sライン 4gで探っていく。

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緩やかな流れで一見魚の姿は見えないが、何投かするとアタリがある。最初のヒットはバラしてしまい、何の魚種だったのか気になってやきもきするのもつかの間、次のヒットはすぐだった。釣れたのは14cmほどのヤマメだった。さすが北海道。あれだけ足跡がある川で入渓ポイントすぐの場所で釣れるとは。雨の恩恵もあったかも知れない。
北海道はヤマメがとても手厚く扱われている。本州とは異なる禁漁時期があり、地域によっても時期が違うとのこと。ここ占冠の川は4月・5月はヤマメ禁漁となる。今は6月なので採取OKということはもちろん確認済みだが、変ないいがかりをつけられないよう動画にも解説編集を入れておいた。
川が蛇行し、道路から離れる辺りから川底がゴルジュのような大きな岩になる。岩のくぼみの水深のある場所を探っていくとやはりヤマメが多くアタックしてくる。しかしどれも型が小さいようだ。北海道はほとんどのヤマメが海に下り(そのための4〜6月禁漁時期)河川残留個体は少ないので大きいヤマメはあまり釣れないらしい。あと、鮎があまりいないので本州のように鮎を食べまくって大きくなる、というわけにはいかないらしい。北海道なら尺ヤマメがそこらじゅうに居るのかと思っていただけに意外だった。
川底ゴルジュ地帯を超えていくと再び底が砂利になり、大きな岩はあまりなく緩やかな流れが続く。この辺りからニジマスがヒットするように。さらに遡上すると岩も増え両岸から木も被さるようになる。やがてエゾイワナも釣れるようになってきた。
流れが細く水が集まり、水深と流速のあるポイントに差し掛かる。ここでかなり良い手応えのヒットがあったがバラしてしまった。あの空中ジャンプと強引な引きは恐らくニジマスだろう。こんな流速の中に魚おらんだろ、と思いつつも流した場所で食ってきたので、試して良かったというのと、むしろ大きいのは速い流れの下に着いていることを学んだ。(これが後の大物ヒットに繋がっている)
もう一度喰ってこないかとスプーンを流すと、再びヒット!しかし先程の大物ではなくヤマメだった。いや、ヤマメが釣れるのは嬉しい。あれだけ直前にニジマスが大暴れして、その直後にヤマメが釣れる事実に感動するのである。
ここまででかなり魚影が濃いことはよくわかる。足元の水中をちょっと撮影してみた。すごい。これが北海道の川。足元で小さなヤマメが無数に泳いでる。関東・東海・甲信越、それなりに水中を撮影してきたが、渓相だけいっちょ前で堰堤ですら魚1匹映らないなんてことはめずらしくなかった。そんな環境を多く見てきただけに、次元が違いすぎて感動する。どうかこの豊かな自然がいつまでも続きますように…無意味な堰や河川工事、農薬流入、外来種の侵略など起こりませんように…。
その後もヤマメを主軸にニジマスときどきエゾイワナがコンスタントに釣れ続ける。釣り人にとっては理想的な川だ。ふと足元にゆったり動く魚影を発見。X(旧ツイッター)で同定してもらったところ、フクドジョウとのこと。北海道の川ではどこでも見られるらしいこの魚だが、地元では見ることのできない魚なのでとても貴重な体験である。
こちら北海道の川にいた魚なんですが、フクドジョウで合ってますかね?👀 pic.twitter.com/JL9UFMKaCq
— みまねちゃんねる (@_miyoumimane_) October 26, 2024
さらに川を遡行すると、段々となった落ち込みに差し掛かる。水量・水深ともに十分で流れは速い。しかし先程の経験から、大物がいるのでは?と流心の底を探ってみる。すると、目論見通り大物がヒット!
デカい!さっきのサイズより2回り以上デカい!ドラグを出されつつも足元まで引き寄せる。そこまでは良かったが、足元に横たわっていた大きめの枝の下に潜られてしまった。そのまま石に巻かれラインブレイク…あの一瞬で枝に潜られないよう川の方に入っていくか、潜られた後にベールを返してラインを出していたら取れたかも知れない…などとたらればするのであった。
最近はルアーをロストすることもほとんどなくなったため、久々のロストに川を汚してしまった罪悪感を感じる…。
その後、退渓ポイントまで何匹かヤマメを釣り納竿。大物2尾を逃す悔しい結果となったが、またいつか挑戦することを胸に刻みこの川を後にした。
19キャッチ9バラシ1ラインブレイクで終了

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東に車を走らせ、2本目の河川に到着。この川は中流域といっていいだろうか。川幅はそれなりに広く流れは穏やかだ。両岸の土手が川から大分離れて盛られており、駐車してから入渓するまでに大分苦労した。藪漕ぎしてようやく水辺にたどり着いたと思ったらブロックで補強された縁で入渓できず藪漕ぎを繰り返した。
どうにか入渓できる場所を見つけ準備をしようとカメラのスイッチをONにする。その瞬間、真新しい足跡が目に入ってきた。こんなに苦労して入渓したのに先行者!?同じように苦労して入渓したのか?それとももっと簡単に入渓できる場所があるのか?前者だとしたらよっぽど釣れる川に違いない!などと考えていたと思う。
気温も水温も15℃。雨が降ったり止んだり。さっそくいつものスプーンで縁を探ってみる。眼の前は小さな堰だ。魚が溜まっていそう。しかし何度かスプーンを流してみるも反応なし。嫌な予感がする。やはり直近で先行者が入ったのか?それともあまり魚のいない川なのか?
堰堤の落ち込みがダメなのでその下の流れが当たっている縁にスプーンを送り込んでみる。するとヒット!ニジマスだ。体高があってよく肥えている。餌が豊富なんだろうか。良い予感がする。さすが北海道。手のひらクルクルである。
変化が少なく、平べったい川だ。たまに堰があってその回りには少し変化がある、といった具合だ。変化のない場所でもニジマスはいてたまにアタックしてくる。しかしそうじゃない。私が求めているのはそういう釣りじゃない。はっきり言って退屈である。キャストの面白みが全く無い。
一つの堰の左岸に木が覆いかぶさるポイントがあった。フリップキャストでその下にルアーを送り込む。目論見通りニジマスがヒット!こういう釣りは面白い。先行者の釣りのスタイルによっては攻められないポイントで、竿抜けポイントを攻めることで取れた1尾!…だったらいいな。
その後も何匹かニジマスがぽつぽつアタックしてくる。キャッチできたのは合計4尾。水も綺麗ではないし特になんの感動もない釣行だった。もうこの区間に入ることはないだろう。
入渓も大変なら退渓も大変である。退渓時は藪漕ぎして左岸側の土手へ上がった。しばらく下ると土手上の道は途中で終わってしまった…。駐車したのは右岸側。左岸土手上から橋まで一気に降ろうという目論見がここで途絶えてしまった。また藪漕ぎして川に入りさらに藪漕ぎして右岸側までいかなければならない。仕方ないので行く。川を渡って少しすると細い流れがあった。大きな中州になっている状態だ。小さな落ち込みと少し水深のあるポイントを見つけた。ひょっとしたら?と思いルアーを入れてみる。……何も追ってきすらしなかった。もうこの区域には入らないことを改めて誓った。
4キャッチ2バラシで終了。
明日は同じ川のもう少し上流の方へ入る予定なのだが、この感じだと期待できなさそうだ…。などと考えながら川を後にし帯広のホテルへと向かった。
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