米Amazonが次に「破壊」する9つの業界

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米Amazonが次に「破壊」する9つの業界

米アマゾンが次にどの業界に進出し、破壊的な影響をもたらすのか、CBインサイツが詳細に分析した
CBINSIGHTS

玩具大手、スポーツ用品店、老舗書籍チェーン。これらはすべて米アマゾン・ドット・コムが破壊(ディスラプト)した分野だ。アマゾンは進撃の歩みをとめず、さらなる業界の破壊に向かっている。同社が次の標的とする薬局、中小企業向け融資、物流など9つの業界について分析する。

米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)はかつて「あなたの利益は私のチャンスだ」と言ったとされる。同社は今や、2~3年前には攻撃するとは思いもしなかった業界に商機を見いだしている。日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

2000年代には、アマゾンによる電子商取引(EC)の支配は書籍や音楽、玩具、スポーツ用品など小売りの幅広い分野を破壊した。米玩具販売大手のトイザラスや米スポーツ用品店のスポーツオーソリティ、米書店チェーンのバーンズ・アンド・ノーブルなど1世紀以上にわたって繁栄してきた大規模小売店もあったが、アマゾンの並外れて速い配達と低価格には太刀打ちできなかった。

アマゾンの破壊の野望は今や、小売りをはるかに超えて広がっている。複雑なサプライチェーン(供給網)物流の専門知識とデータ収集での競争力を武器に、新たな業界に次々と攻撃を仕掛けている。

同社は実店舗を展開する食品スーパーを買収し、地域の配達を簡素化するために、野菜や果物の熟度を自動選別する機能を搭載した生産ラインなどテクノロジーを駆使している。

18年6月にはオンライン薬局のピルパック(PillPack)を買収した。最近発表した新サービス「アマゾン薬局」により、全米で薬局の免許を取得し、流通網を築こうとしている。

個人や外部の販売業者が出品できる「アマゾンマーケットプレイス」では、売り上げや予測などのデータを活用し、出店者に銀行よりも有利な金利でリスクを排した融資を提供している。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う巣ごもり消費により、アマゾンの業績は大幅に伸びている。20年7~9月期の純利益は前年同期比200%増の63億㌦に達した。これにより、アマゾンが新たな業界の攻撃に費やせる資金はさらに増えている。

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今回のリポートでは、アマゾンが明らかに破壊しようとしている5つの業界(薬局、中小企業向け融資、物流、生鮮食品、決済)と、まだ取り組み始めたばかりの段階にある4つの業界(保険、スマートホーム、高級ファッション、園芸)について調べた。後者の4つの業界を破壊する可能性はまだ推測の域にとどまるが、アマゾンの規模と強みがあればすぐに現実になり得る。各業界でのアマゾンの歩みと進展について説明する。

アマゾンが次の5年間で破壊する5つの業界

1.薬局:処方薬を薄利の汎用品に

米ウォルグリーンズや米CVSなどの薬局チェーンの売り上げは、アマゾンの便利で「何でも買える店(エブリシング・ストア)」の台頭により既に低迷している。各社は今や新たな問題を抱えている。アマゾンは「店先」だけでなく、医薬品流通の中核業務も破壊しようとしているからだ。

アマゾンは数十年前から薬局の破壊に関心を持っていた。1999年に米ドラッグストア・ドット・コム(当時はまだ商品も収益も生み出していない企業だった)の株式40%を取得し、ベゾス氏は後にドラッグストア社のカル・ラマンCEOをアマゾンのハードライン(ハード機器)部門の責任者として採用した。

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